オフィス市場は住宅市場と比べると景気の動向に左右されやすく変動しやすい。住宅の場合需要の総量自身は景気ではなく人口、世帯数の変動により変化する要素が強いのに対して、オフィス床需要は景気の変動によって大きく変化するためである。サブプライムローン問題に端を発した金融危機による世界経済の低迷により、2007年ころをピークにしてオフィス床需要は減少し、空室率が上昇して賃料は下落したが、10年以降は回復傾向が読み取れる。すなわち、賃料の下落は続くものの空室率は大阪、名古屋などでは10年以降低下し、東京でも12年半ばから低下傾向が読み取れる。三鬼商事の「MIKIオフィスリポート」によって3大都市(東京、大阪、名古屋)のビジネス地区のオフィス市場の状況をみると、13年11月の空室率は東京が7.56%(前年11月8.76%)、大阪が9.85%(前年11月9.51%)、名古屋が9.76%(前年11月10.97%)であり、大阪がわずかに上昇したが東京と名古屋は減少している。賃料は下落が続いており、13年11月の平均賃料は、東京が1万6219円/月/坪(前年同月比2.2%減)、大阪が1万1285円/月/坪(前年同月比0.5%減)、名古屋が1万828円/月/坪(前年同月比0.3%減)となっている。オフィス市場は空室率の低下傾向が続いているが、賃料の下落は続いている。しかし、市場は緩やかに回復しているといえる。