議会が一つの議院のみで構成されるのが一院制、二つの議院で構成されるのが二院制(両院制)。日本、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどは二院制、スウェーデン、ニュージーランド、韓国などは一院制。ドイツは正しくは一院制だが、州政府の代表機関の連邦参議院を加えて二院制的な機能を果たしている。二院制では国民全体の意思を直接反映する性格の強い方が下院、他が上院と呼ばれる(日本では衆議院(衆院)が下院、参議院(参院)が上院)。一般には立法権や予算の議決権などで下院が優越する(下院の優越)が、アメリカやイタリアなどでは両院は対等。二院制の意義は、選挙制度を変えて異なる代表を作り出す、審議を慎重にする、連邦国家で連邦と州の利益を代表させる、立法権自体を分立するなどがあるが、実際の上院の姿や機能は、国により多様である。1970年代までは二院制の凋落(ちょうらく)が言われたが、近年は上院を復活させる国や再評価論もある。わが国の参院は、制度的には「強い上院」に属するが、自由民主党(自民党)が長らく衆院と参院の多数派であった時代には、参院の存在意義を発揮することは困難で、参院廃止論や一院制移行論もあったが、2007年の参院選挙で野党が多数を握るねじれ国会となって、参院は一転して日本政治の重要なプレーヤーとなった。その後09年の総選挙での政権交代により、一時的に衆参の多数派の一致が回復したが、10年の参議院選挙での民主党の大敗により、再びねじれ国会となって、参院が政権運営に大きな影響力をもった。ねじれ状態は12年の総選挙で政権が自民党と公明党の連立に戻るとともに、13年7月の参院議員通常選挙でも自公の与党が勝って解消された。しかしねじれは、わが国の二院制の仕組みから今後も起き得ることであり、このため衆参で共に多数を占める連立政権を組織するか、政権の所在はあくまでも衆院の構成によるものとしたうえで、両院間の意思の調整の仕方を工夫したり、参院の代表制のあり方の抜本的な見直しを視野に入れた参院の選挙制度改革を行うなどは、今後のわが国の政治システムについての重要な検討課題の一つである。