期限の到来により失効する時限立法のうち、期限の延長に与野党間で異論のないものは、「日切れ法案」として通常失効直前に延長法案が可決される。またインド洋での海上自衛隊の給油活動に関するテロ対策特別措置法のように、その内容自体が与野党が対立するテーマである場合は、期限延長の是非はそのための法案そのものの成否の攻防の形を取る。これに対して本体の期限延長法案とは別に、失効する法案の全部または一部の規定を一定期間延長して、本体の法案についての議論が決着するまでのつなぎとする法案をつなぎ法案またはブリッジ法案と呼んでいる。ねじれ国会で与野党が対立している状況下で、期限が切れる規定のうち与野党が合意できる部分についてとりあえず期限を延長させて、本体の法案の取り扱いについて協議を継続することを可能にする点などで近年意義を増している。2008年の通常国会で、野党が3月末で期限が切れるガソリン税の暫定税率の廃止を主張したため、与党は暫定税率の維持を含むつなぎ法案を衆議院(衆院)に提出した。本体の法案は政府提出の歳入法案で、3月末までに成立させることが困難だったため、与党の議員立法によりつなぎのための必要規定の延長を目指したのである。野党は反対している暫定税率の維持の規定が含まれていたために激しく反発し、結局歳入法案について「年度内に一定の結論を得る」とする衆参議長のあっせん案(→「議長あっせん」)により、与党はつなぎ法案を撤回した。しかし野党は年度内の法案成立に協力せず、3月末には両院議長の呼びかけによる与野党協議で、野党も協力してガソリン税以外の租税特別措置を5月末まで延長するつなぎ法案が成立した。09年の政権交代後の民主党政権においても、10年の参議院選挙での民主党の敗北によるねじれ国会の影響で、11年の通常国会で租税特別措置等の税制改正法案をめぐって与野党が対立し、東日本大震災の発生による自然休会もあり、年度内に必要な法案処理ができず、結局与野党合意で「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法等一部改正法案」および「国民生活等の混乱を回避するための地方税法一部改正法案」というつなぎ法案を成立させた。