国会改革の一部として参議院(参院)改革があるが、しかし長らく参院の存在意義が問われてきたことから、参院改革は単に国会改革の一要素以上の意味と重みがあり、当の参院でも自らの存廃に関わる問題として熱心に追求されてきた。だがそもそもの参院の存在意義を発揮するための大掛かりな改革の議論は、1971年7月の河野謙三議長の設置した「参院問題懇談会」以後、多くの内部または外部有識者の検討機関の設置を経て、99年4月の斎藤十朗議長の「参院の将来像を考える有識者懇談会」でいったん幕を閉じ、その後各議長は、各会派による参院改革協議会を舞台に、子どもたちを対象とする「参議院特別体験プログラム」の実施、議員の海外派遣のあり方の見直し、決算審査の改革など、小粒ながら着実に実現できる改革に取り組んでいる。一方で近年参院改革の最重要課題に浮上しているのは、衆議院より大幅に拡大している「一票の格差」の解消のための選挙制度改革である。特に2010年参院選での一票の格差が、各地の高等裁判所(高裁)の判決で軒並み「違憲」ないし「違憲状態」とされたことから、12月に西岡武夫議長は、「選挙制度の改革に関する検討会」を設置し、自ら全国9ブロックによる非拘束名簿式による選挙制度改革の私案(その後同じ9ブロックの大選挙区制で個々の候補者に投票する定数200人の選挙制度に変更)を提示したが、各党の意見はまとまらなかった。続く平田健二議長の下では、検討会の下に参院各会派でつくる「選挙制度協議会」を設置し、検討を続けたが、12年10月に最高裁判所(最高裁)は、10年7月の参院選挙の5.00倍の一票の格差を違憲状態とし、格差是正のために都道府県単位で選挙区を設定する現行の参院の選挙制度自体を見直す必要性に触れた判決を下した。参院は、12年11月にとりあえず「4増4減」による格差の縮小のための公職選挙法の改正を行い、付則で16年の参院選までに選挙制度の抜本改革の結論を得る方針を明記したが、13年7月の参院選をめぐっても各地で一票の格差を理由とする選挙無効訴訟が提起され、11月に広島高裁岡山支部は、4.77倍の格差を理由に同選挙を「違憲で無効」と判示した。しかし参院側の危機意識は薄く、今後は各高裁の判決を踏まえた最高裁の判断とともに、参院がいかに真剣に格差是正問題に取り組むかが注目されている。(→「国会改革」)