国会がスタートして以来、改革の試みは絶えず繰り返されてきたが、1955年に自由民主党が結成されて国会の制度的な枠組みが固まるとともに、大幅な改革は困難になりつつある。しかし改革の努力自体が失われたわけではなく、改革案検討のための議長の諮問機関として、衆議院(衆院)では66年以来議会制度協議会(議院運営委員長が座長、理事がメンバー)が、参議院(参院)では77年から95年6月まで参院改革協議会(議院運営委員長を座長に協議員19人で構成)、同年10月から参院制度改革検討会(各会派の11人の議員で構成)、さらに2002年3月には新たに参院改革協議会(参院各会派の幹部で構成)が設置されている。その他「参院問題懇談会」、「衆院改革調査会」、「参院の将来像を考える有識者懇談会」など、有識者による議長の私的諮問機関の例もある。しかし各党の合意を前提とする協議機関や有識者機関の成果は限定的で、近年最大の国会改革となった1999年の国会審議活性化法と憲法調査会の設置は、連立政権をめぐる協議と有志議員の活動という政治のダイナミズムにより実現した。2009年の政権交代により与党となった民主党、社会民主党、国民新党は、官僚答弁の禁止など独自の国会改革を追求し、11年の通常国会を前に民主党の岡田克也幹事長は、首相や閣僚の海外出張による国会欠席の弾力的運用、質問通告の期限厳守、両院協議会の改革、参院問責決議の取り扱いを内容とする国会改革提案を提示した。野党は必要性は認めつつも、野党時代にこれらを使って抵抗したのは民主党の方だと反発を強め、ねじれ国会となっていたこともあり改革は実現しなかった。しかし11年秋の臨時国会の法案成立率が34%にとどまり、国民の批判も強まったことから12年2月に衆院は議院運営委員会に「国会改革・機能強化小委員会」を設置し、両院協議会の権限強化など国会の機能強化について検討することにした。12年の再度の政権交代後この小委員会は廃止され、国会法改正等小委員会と統合して「国会法改正・国会改革小委員会」とすることになった。同時に、政権交代後の与党は、かつて自分たちが反対した首相や閣僚の国会出席の負担軽減をもちだし、民主党や維新の会との間で、首相の国会出席の軽減負担(→「総理大臣の国会出席負担」)、党首討論の充実、議員立法の審議の絞り込みの3点で改革案をめざすことになった。民主党は、国会会期の通年化(→「通年国会」)を主張しているが、与党は反対している。その他衆院議員の定数削減問題、一票の格差問題、それらと絡んだ選挙制度改革、参院の一票の格差是正のための参院選挙制度改革もそれぞれの議院の重要テーマとして協議が行われている。衆院に関しては14年9月に伊吹文明議長の諮問機関として有識者の第三者機関が発足し、安倍晋三首相をはじめ与野党の党首たちもその答申を尊重する旨表明しているが、参院については目立った進展は見られない。政権交代が起きるようになると、与野党が入れ替わってそれぞれがこれまでとは逆の主張をして相変わらず改革が進まない事態が見られる。またねじれ国会は「決められない政治」の不毛をもたらし、国民の国会に対する信頼は大きく低下したが、一方でねじれが解消すると、政権側が特定秘密保護法案のように世論の反発が強い法案も成立させるなど強気の国会運営を行い、それに対する国民の批判も生まれている。その具体策の策定と各党による合意には難しいものがあるとはいえ、建設的な国会への生まれ変わりが喫緊の課題である。(→「参議院改革」)