政党、政治団体、議員、同候補などが政治活動を行う際に使う資金。選挙運動費や広報活動費、組織の維持・管理費などを含む。政治資金の「入り」と「出」を明確にして政治活動の公明性を確保する目的で制定されているのが政治資金規正法である。連合軍総司令部(GHQ)の指令により1948年に法制化され、75年と94年の大改正を含めたびたび改正されてきた。94年改正では、政治家が指定する政治資金管理団体は一つに制限され、1企業(団体)からは年間50万円までしか献金を受けられないことになった。個人の資金管理団体に対する企業(団体)献金は5年間は認められ、「2000年1月から禁止する措置を講じる」(同法付則9条)とされた。自由民主党(自民党)は存続を模索したが、連立相手の公明党が実現を強く求めたため禁止に踏み切り、法改正された。近年、自分が支部長を務める政党支部で企業献金を受け入れて政治家個人の政治資金管理団体に還流させる迂回献金が急増している。このため自民、公明の両与党は企業・団体献金を1政党支部当たり年150万円に制限する法改正案を03年通常国会に提出したが、成立しなかった。04年7月には橋本龍太郎元首相が日本歯科医師連盟(日歯連)から1億円小切手を受領しながら政治資金収支報告書に記載しなかった事件が発覚。政治団体間の寄付を5000万円までに制限するとともに、政党本部が支部を解散できるようにする法改正が05年10月実現した。
事務費の不正経理が明るみに出て政治とカネの問題が浮上したため、自民党と公明党は07年通常国会に、(1)政治資金収支報告書へ1件5万円以上の支出について領収書添付を義務付ける、(2)政治団体全部にまでは広げず「政治資金管理団体」に限る、(3)政治資金管理団体による不動産取得・保有を禁止する、との改正案を提出、6月に成立した。7月参議院選挙での与党敗北を受けて、より厳しい改正を求める意見が強まり、国会議員が関連する政治団体の事務所費など経常経費について1円から領収書を原則公開するとの政治資金規正法改正が12月実現した。09年分からが対象となり、これに基づく初めての公開が10年12月1日行われたが、領収書が備わっていなかったり、監査が十分でないなどの問題点が指摘された。逆に領収書を必要としない「組織対策費」「政策活動費」の名目での支出が両党で計約25億円にも達しており、透明性を低める結果になっている。13年4月には国会議員による寄付金還流問題が表面化した。自らが支部長を務める政党支部に政治資金を寄付し、その政党支部から自らの後援会に寄付を還流させて後援会の政治資金を確保する手法だが、その際多額の所得税控除を受ける事例が多いことが問題だとして報じられた。岸本周平が3650万円、山本幸三2365万円、松下新平2157万円などの事例があったが、議員側は正当だと主張した。