国会での法案、予算案、条約などの採択に当たって各政党が党機関で賛否を決め、所属議員にその党議に従った投票行動を求めること。議会制民主主義をとり、多数党が政権を担う議院内閣制の下では、与党が内閣(政府)提出法案・予算案の成立と条約の批准に責任をもつことから党議拘束をかけるのは政党政治の根幹にもかかわる。党議に反する行動は「造反投票」と呼ばれ、造反に対しては除名、離党勧告、党役職の停止、戒告などの処分を行うのが通例。しかし、過度の党議拘束は議会制民主主義の形がい化につながるとの指摘もある。社会民主党(社民党)は党則で「原則非拘束、例外拘束」を定めているほか、民主党は1999年の国旗国歌法案について党議拘束をかけなかった。自由民主党(自民党)は2005年の郵政民営化法案採決の際、総務会で「党議拘束」を宣言し、造反議員は公認しなかった。同党党紀委員会は05年10月、反対議員のうち10人を除名、27人に離党勧告、2人を党員資格停止1年、17人を党の役職停止1年、3人を戒告という厳しい処分を決めた。衆議院議員に比べて参議院議員への処分内容はやや寛大だった。12年4月、完全民営化路線を見直す郵政民営化法改正案の採決では、中川秀直、菅義偉、小泉進次郎が党の賛成方針に造反して反対し、平将明が途中退席したが、自民党執行部は口頭での厳重注意にとどめ、党規律規約に基づく処分はしなかった。6月の消費税増税法案の衆議院採決に当たっては党議拘束にもかかわらず、民主党から大量の造反が出た。