衆議院の小選挙区間の「一票の格差」を是正するため、定数を増やす県は0で、山梨、福井、徳島、高知、佐賀5県の定数を3から2にそれぞれ減らす公職選挙法改正。2012年11月16日成立した。これにより人口の最も多い千葉4区と最も少ない高知3区の間で2.54倍あった最大格差は2倍以内に収まる。一票の最大格差(千葉4区・高知3区の間)が2.30倍あった09年総選挙について、最高裁判所大法廷は11年3月23日、「違憲状態」とする判決を下した(→「衆議院定数「違憲状態」判決」)。選挙無効の訴えは退けた。衆議院小選挙区の区割りは10年ごとの国勢調査で見直すことになっており、10年国勢調査の確定値が11年2月に発表されたのを受けて、衆議院議員選挙区画定審議会(区割り審議会)が作業を開始したが、最高裁判所の「違憲状態」判決により作業を中断。国会側の定数是正措置も行われなかったために、1年以内とされた答申ができず、12年2月25日以降は「違法状態」にも陥った。衆議院選挙制度をめぐっては当面の手直し論と抜本改革論が交錯し、さらに消費税引き上げの前提条件として定数を削減する考えも出てきたため、議論が迷走して改革は進まなかった。政権与党だった民主党は同年6月、(1)小選挙区は1人別枠方式を廃止し0増5減とする、(2)比例代表は定数を40減らし140とし、一部35議席分に「連用制」(→「小選挙区比例代表連用性」)を導入する―などの衆議院選挙制度改革の公職選挙法改正案を国会に提出した。これに対し自由民主党は同年7月、「0増5減」を先行する公職選挙法改正案を提出した。12年秋の臨時国会では、最低限の改正をしておかないと、最高裁判所から「選挙無効」の判決が出かねないとの懸念が広がり、衆議院解散直前に急きょ与野党合意ができ、「0増5減」が実現した。