国際連合(国連 UN)は1945年の創立以来、安全保障や経済的・社会的・文化的分野の国際協力の促進において、多くの困難に直面しながらも、優れた実績を挙げてきた。その間、国連は憲章上の基本的構造を変更することなく現在に至っている。しかし、国連をとりまく世界の情勢は、五大国を含む連合国の協調時代から東西対立による冷戦の時代へ、さらに新興独立諸国の大量加盟による南北対立の時代、そして冷戦の終結およびその後の地域紛争の時代へと大きく変化してきた。また、大規模テロや大量破壊兵器拡散、環境破壊や大量の難民流出などに代表される、地球的規模の問題(global issues)が深刻化してきている。大きく変容し続ける世界と、新たに生じた地球規模の諸問題に対して、国連を有効に機能させるため、長年にわたり様々な改革案が、国連の内外から提案されてきた。その多くは、国連のスリム化、事務局の効率化、安全保障理事会の改革(安保理改革)などを中心とするものであったが、諸国の利害が一致せず、はかばかしい進展を見せることはなかった。しかし近年、人類への脅威に対応可能な国連を目指す改革への機運が高まり、新たに人権理事会(→「国連人権理事会」)、平和構築委員会などの新機関が設置されるに至った。また2006年11月には、包括的な国連改革に関する「一体となった任務遂行(Delivering as One)報告書」が、事務総長に提出された。しかしながら行財政改革と安保理改革については、加盟国の間に考え方や立場の大きな対立があり、実現にはなお紆余(うよ)曲折が予想される。日本は、ドイツ、インド、ブラジルなどとともに、自ら常任理事国になることを視野に、安保理改革を進めようとしている。