西サハラの独立運動組織ポリサリオ戦線が樹立したサハラ・アラブ民主共和国のアフリカ統一機構(OAU アフリカ連合の前身)加盟に抗議し、1984年にOAUを脱退したモロッコのアフリカ連合(AU)への再加盟。2017年1月末、AU首脳会議において承認された。西サハラの主権をめぐっては、1975年時点で国際司法裁判所が勧告的意見としてモロッコに領域主権はなかったとし、国連憲章に基づき、独立かモロッコへの帰属かを問う西サハラでの住民投票の根拠を認めた。91年、ポリサリオ戦線とモロッコの間で停戦が実現すると、国連安全保障理事会決議による住民投票が実施される予定であった。しかし、一度は受諾したモロッコ側が先延ばし戦術に出て、以来、たび重なる国連の調停策にもかかわらず、西サハラの不法占領が続いている。AUはOAU時代の領土保全と植民地支配の終焉の原則を引き継いでおり、アフリカ最後の植民地である西サハラを占領しているモロッコが、今後その原則をどう遵守するかが注目されている。すでに南アフリカ、アンゴラ、アルジェリアなどの地域パワーは、AUの威信をかけてモロッコに国連決議の遵守を呼びかけている。この地域は漁業資源や鉱物資源に恵まれ、占領下での外国企業による違法開発問題も、今後は浮上する可能性がある。