人口の歴史を3区分したとき、プレ人口転換期、人口転換期に続く時期。プレ人口転換期には、出生率、死亡率ともに高い水準である多産多死で釣り合っており、長期的には出生率が死亡率をわずかに上回ることから緩徐な人口増加が見られる。人口転換期には出生率、死亡率ともに大幅に低下するが、死亡率低下が出生率低下に先行する多産少死となり、大幅な人口増加とともに人口高齢化が起こる。ポスト人口転換期は、こうした人口転換が完了した時期のことをいう。この時期には、出生率、死亡率ともに低い水準である少産少死で釣り合い、人口増加は停止する、つまり静止人口に落ち着くと予想されていた。しかし、日本をはじめとする先進諸国ではこの想定を超えて出生率が低下して、高齢者の寿命も想定以上に延びたことから、ポスト人口転換期は際限のない人口減少と超高齢化で特徴づけられる時代となった。日本の人口が減少に転じたのは2000年代後半であるが、これに先立ち1970年代半ばには人口増加にブレーキがかかっており、この間に日本はポスト人口転換期に入ったとみることができる。「少子高齢化社会」や「人口減少時代」と呼ばれてきた日本の人口問題は、「ポスト人口転換期の到来」という表現がより包括的といえる。