年金は、老齢などによって働けなくなった時の所得保障の手段であり、定められた保険料を支払うことによって、長生き、早死、障害といった三つのリスクに対応した給付金を国から受け取ることができる。日本の公的年金は、社会保険方式で運営されている。社会保険方式とは、あらかじめ保険料を支払った人が年金を受給する仕組みである。20歳から60歳未満の国民は国民年金に加入し(強制加入)、基礎年金を受給する。法律や申請によって免除が認められない限り(→「保険料免除制度」)、保険料を支払うことが義務付けられている。1959年に制定され、61年から実施された国民年金法により、国民皆年金体制が確立した。85年に基礎年金が導入され、現在、公的年金は、一階部分の国民年金と二階部分の厚生年金や共済年金といった報酬比例年金からなる二階建ての形になっている。すべての国民に共通する一階部分の国民年金の加入者には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類がある。国民年金の給付の費用である基礎年金給付費は、全被保険者が頭割りで負担する。具体的には、第1号被保険者は、個別に加入手続きをして保険料を負担するが、第2号および第3号被保険者の保険料は、各被保険者年金制度(厚生年金や共済年金)が被保険者数に応じて、拠出金として一括して負担する仕組み。同じ国民年金の加入者であるが、第1号、第2号、第3号被保険者では、保険料の支払い方が異なっている。なお、海外に住んでいる20歳以上65歳未満の日本人、年金を受給するために必要な資格期間の足りない人や過去に未納期間などがあり、満額の老齢基礎年金を受給できない人で日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の人などは任意で国民年金に加入できる。