原子炉は核分裂反応による熱と崩壊熱による発熱を抱えており、常に冷却しておく必要がある。冷却材が原子炉の中から失われる事故を冷却材喪失事故と呼び、その時にECCS(非常用炉心冷却装置もしくは緊急炉心冷却装置 emergency core cooling system)が働かなければ、炉心溶融(core meltdown)に至る。炉心が溶融すれば、燃料棒内に蓄積してきた核分裂生成物などが原子炉容器内に放出される。1979年3月、アメリカのスリーマイル島原子力発電所(TMI ; Three Mile Island nuclear power plant)で起きた事故では、炉心の半分が溶融、原子炉圧力容器の底部に落下した。その後も冷却ができなければ、原子炉容器破壊、原子炉格納容器破壊を経て環境に放出される。2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故では、電源喪失によって原子炉への注水が途絶え、1号機、2号機、3号機で炉心溶融が起きた。