1966年から始まった日本の原子力発電では、累積で7兆kWh(キロワット時)を超える電力を生産した。一方そのために生み出した核分裂生成物(→「核分裂」)は広島原爆がまき散らした核分裂生成物に比べて130万発分に近い。今すぐに原子力発電を放棄したとしても、すでに作ってしまったこれらの放射能のごみは、いずれにしても何らかの始末をつけなければならない。その方策を決められた国はいまだに世界中に一つもないが、日本では地層処分することが法制化されている。その立地点は、公募方式で決めることにされており、立地に向けての概要調査を受け入れれば、10億円の交付金が2年間支払われることになり、財政が破綻した地方の小さな自治体で応募に向けた動きが続いてきた。しかし、2007年3月に一度は町長の独断で受け入れを決めた高知県東洋町を含め、すべて白紙となり、いまだに処分場を決められない状態が続いている。そのため、原子力委員会から意見を求められた日本学術会議は12年9月11日に答申を出し、地層処分の方針を白紙に戻し、一から出直すように求めた。ところが、同年12月の総選挙で政権に返り咲いた自民党は、経済産業省内に新たな検討委員会を作り、これまで以上に地層処分を推進し、これまでの公募方式に代えて、国が処分地を指定していく方針を打ち出した。