原子炉で燃やされた燃料は使用済み燃料となるが、その中には、核分裂生成物と放射化生成物が蓄積されている。いずれも生命体に対する毒物であるし、放射能をもっているがゆえに発熱する(→「崩壊熱」)。そのため、使用済み燃料は冷却を続けながら、保管しなければならない。従来は原子力発電所の敷地内にある使用済み燃料プールに貯蔵されてきて、一部は再処理のため、イギリスのウィンズケール(セラフィールドとも呼ぶ)再処理工場、フランスのラ・アーグ再処理工場に送られ、1998年からは、2010年現在も稼働にいたることができない青森県・六ヶ所村の再処理工場に、再処理を名目に約3000tの使用済み燃料が送られた。しかし、イギリスやフランスとの再処理契約はすべて終了しているし、六ヶ所村の再処理工場にある使用済み燃料プールももう満杯で、これ以上の使用済み燃料を受け入れる能力がない。各地の原子力発電所は使用済み燃料プール内の燃料集合体をリラッキング(re-racking 貯蔵量増加のための収納高密度化)したりしてしのいできたが、いずれにしても早晩行き詰まる可能性が高い。そこで、使用済み燃料を原子力発電所でも再処理工場でもない場所に貯蔵せざるを得なくなり、そのために使用済み燃料の中間貯蔵施設が計画された。ただし、プールに貯蔵する湿式中間貯蔵(wet type interim storage)方式では、プールの漏れが発生した場合に燃料が溶ける恐れがある。そのため、長期間の保管をするためには、水に頼らず、キャスク(cask)と呼ばれる放熱機能付きの金属製容器に使用済み燃料を格納し、貯蔵する方式が採用される。それを乾式中間貯蔵と呼ぶ。