ナノチューブは1層~数層のグラファイトを筒状に巻き、その両端にC60類のキャップをつけた構造を持つ。そのエレクトロニクス応用は1995年のデルフト工科大学による量子効果トランジスタの試作から始まった。その後、CMOS構造の実現と動作確認など、シリコンと置き換わるかと期待される成果が出ている。現在ではシリコン集積回路の配線材料としての開発が進んでおり、その大きな理由は許容電流密度が現在主に配線材料として使用されている銅の10~100倍と大きく、またエレクトロマイグレーションなど不良現象も起こりにくいためである。最大の技術課題は金属配線やシリコンとの接触抵抗の低減である。