ワイドバンドギャップ半導体の一つである炭化ケイ素(SiC シリコンカーバイド)を基板として用いるデバイスで、主に高耐圧なパワーデバイスに用いられる。SiCは禁制帯幅(バンドギャップ)が3.2eV(電子ボルト)と、シリコンの1.1eVに比較して大きいため、耐圧を持たせるための空乏層幅を小さくでき、このため特にオン抵抗(電流が流れているときの抵抗)を低くできるので、損失が小さく、高性能化が可能である。その結果、シリコンでは600V(ボルト)程度までが実用的な限界であるが、SiCでは1200V程度まで比較的楽に実現でき、研究レベルでは5000V程度が実現されている。また、高周波特性も良くなることが期待され、通信用の高耐圧高周波デバイスへの応用も期待できる。結晶構造が7種類ほど知られており、また融点が高いなどの理由で、まだシリコンほど良い結晶を安く作成する技術が開発されていないため高価格であるが、技術開発により、電力、鉄道、ハイブリッド車を含めた電気自動車等のパワー産業応用から急速に普及すると予測される。