損失や雑音の中で量子情報を遠方に送るため、途中で量子情報を再生して次の地点に送る方式。また、そのための装置であり、量子中継機ともいう。通常の電気通信や光通信でもリピーター(中継機)は不可欠で、0と1で表現するデジタル信号が雑音に埋もれる前に識別して再び強い信号として送るので、識別再生機とも呼ばれるが、量子情報の場合に特殊なのは、「識別」してしまっては重ね合わせ状態(→「重ね合わせの原理」)や量子もつれ(→「エンタングルメント」)状態が壊れることにある。このため量子リピーターは古典リピーターにない難しさがあるが、原理的には可能である。現在、種々の方法が考案されており、早晩実験研究も着手されると予想される。量子リピーターを使わない場合、量子暗号が可能となる距離の最大値は100km程度しかないが、量子リピーターを使う場合は東京~大阪間も可能となり、さらに日本~アメリカ間も可能となる。