炭素だけからなる結晶であるダイヤモンドの一つの炭素原子が窒素原子に置換し、その隣にある炭素原子の一つが抜けていることによって安定した不純物センターとなっているもの。窒素の元素記号Nと炭素の空席(vacancy)によるセンター(中心)であることが名前の由来である。安定した核スピンと電子スピンを有し、可視光とマイクロ波の二つの周波数の光に共鳴する量子ビット系としての利用が期待されている。特に、超伝導素子が吸収・放出するマイクロ波が届く範囲にあるダイヤモンドNV中心は、ある種のエンタングルメント(量子力学的な特殊な相関)を形成するので、大規模エンタングルメント実験が可能となる。最近の実験条件では、3000万個のNV中心のエンタングルメント制御も夢ではないとされる。