電子ビームを用いたナノリソグラフィーと反応性イオンエッチングを組み合わせることで、グラフェンをさまざまなデザインのナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)形状に加工することができる。この技術を用いて、半導体などで実現されてきたさまざまなナノデバイスがグラフェンで再現されている。量子ドット構造、結合量子ドット構造なども作製され、クーロンブロッケード特性も明瞭に観測された。グラフェンを構成する炭素は99%が核スピンを持たない12C(炭素12。通常の炭素)であり、グラフェンではスピンと軌道の相互作用も弱い。したがって、グラフェンナノデバイスでは電子スピンがさまざまな外部要因の影響を受けにくいという利点があり、量子コンピューターなどへの応用にも有利と考えられる。また、さまざまなナノデバイスを含む集積化素子が1枚のグラフェンシートから作製できる魅力も、グラフェンにはある。