帰心の会は、日本を代表する5人の建築家、隈研吾(くまけんご 1954~)、伊東豊雄(1941~)、妹島和世(せじまかずよ →「SANAA」)、山本理顕(やまもとりけん 1945~)、内藤廣(ないとうひろし 1950~)が東日本大震災からの復興を考えるために2011年3月に結成した。名称はそれぞれのイニシャルをとった、K・I・S・Y・Nにもとづく。これまでに被災地を訪れ、今後の建築やまちづくりを考えるシンポジウムなどを開催してきた。同年5月1日の第1回シンポジウムにおいて、伊東は「批判をしないこと、身近なことから行動を起こすこと」というスタンスを表明している。第2回はせんだいメディアテークにて、被災した市民が参加するオープンな議論を行った。被災地の多様な地形の読みとりから自然と向きあう建築をめざす妹島、産業や伝統の視点から被災地の職人と一緒に仕事をする必要性を訴えた隈、孤独死が多発した阪神・淡路大震災の仮設住宅の経験を生かした配置計画を提案する山本、今から来るべき次の震災に備えておくべきだという内藤のように、各建築家が自身の態度を表明している。10月の第3回は伊東による「みんなの家」の完成に合わせ、仙台で開催された。帰心の会が、本格的な復興計画にどのようにかかわっていくか、今後の活動が注目されている。