1770~1820年ころまで支配的だった音楽様式の流派。均整のとれた形式、明快な和声に支えられた上声旋律の優位と、純音楽的な音の結合を重視する絶対音楽の理念に基づいて、普遍的人間性の表現を追求した。このような古典主義の音楽はいずれもウィーンを中心に活躍したハイドン、モーツァルト、ベートーベンの3人によって完成されたので、ウィーン古典派(Viennese classics)ともよばれる。楽曲の形式としてはソナタ形式やロンド形式、ジャンルでは交響曲や弦楽四重奏曲、近代的なソナタや協奏曲の発展が特に重要である。古典様式への胎動は、バロック時代末期から各地でみられ、ウィーン古典派以前のバッハの息子たちやマンハイム楽派などに代表される傾向を前古典派という。一方、ウィーン古典派の最後を飾るベートーベンの後期作品には、形式の均整よりも詩的ないしは劇的内容の表現を重視するロマン主義的傾向が認められる。