スペインの目覚ましい料理革命によってフランス料理の世界も大きく影響を受けている。また、分子料理法によって、フランス人にも化学的なアプローチを試みるシェフが増えている。ただ、もともと保守的なフランスにおいて、料理が化学で語られることに対する拒否反応は強い。化学的に加工された素材(エスプーマ、液体窒素、アルギン酸ナトリウムなど)を使わずに、素材そのもので現代的なフランス料理を守ろうという動きもある。それには従来の油脂を用いたソースではなく、動物や魚のエキスから取るジュ(jus 仏 汁のこと)から脂分を取り除き、うまみだけを利用したジュが、生クリームやバターを使ったソースに取って代わっている。また、全くソースを使用せず、素材の味わいを強調する料理も多い。その影響は日本でも同様。ソースはあっさりとして、野菜をたっぷり使った料理に移行している。