小中学生の陸上競技大会でやり投げに代わる種目。正規のやり投げは、男子では長さ約2.7メートルのやりを使用し、投げるには高い技術が必要なうえに肩の故障や事故の恐れもある。そこで、男子の元世界記録保持者、トム・ペトラノフ(南アフリカ)が1メートル前後のジュニア用器具を考案し、フィンランドや日本など、やり投げの盛んな国で改良されて現在に至っている。プラスチック製のロケット型で、重さは正規のやり(男子は約800グラム)の半分程度から年齢、技術に応じて数段階ある。国内では陸上競技用品メーカーのニシスポーツが製造し、1994年のジュニアオリンピック陸上競技大会から導入されている。世界選手権で銅メダルを獲得した村上幸史やロンドン・オリンピック代表のディーン元気ら、世界的な選手を輩出しているやり投げは、室伏広治を擁するハンマー投げとともに世界に通じる例外的な投てき種目。野球の裾野が広いことから今後とも有望な種目だけに、このような補助器具でジュニア期からスムーズな導入を図って「第二の村上」を育てたい。