オオノ・カズオ。舞踏家。
2010年6月1日、日本独特の肉体表現「舞踏」の創始者の一人で、肉体の衰えを表現力でカバーし、100歳を超えても車いすに乗って踊り続けた大野一雄さんが、呼吸不全のため死去。103歳。
1906年10月27日、北海道生まれ。日本体育会体操学校（現・日本体育大学）を卒業後、体育教師として横浜のミッションスクール関東学院に赴任。転任した捜真女学校でダンスを教えるために石井漠の門をたたき、モダンダンスを学んだ。38年から第2次世界大戦で中国、ニューギニアを転戦。1年間の捕虜生活のあと復員し、49年に初リサイタル。50年代に土方巽（ひじかた・たつみ）と出会い、内面的な問題を扱う身体表現「舞踏（BUTOH）」を創造。77年、「カスタネットの女王」と呼ばれたスペインの舞踏家ラ・アルヘンチーナを題材にした一人舞踏「ラ・アルヘンチーナ頌」を発表。80年、初の海外公演となるフランスのナンシー国際演劇祭で「ラ・アルヘンチーナ頌」を披露。以後、海外公演などで世界に大きな影響を与えた。晩年も肉体の衰えを芸と表現力でカバー。車いすに乗り、100歳を迎えても現役として踊り続けた。