国会が他の先進国の議会に比べて短期間の会期と会期不継続の原則のために野党の審議遅延策を招き、実質的な審議が十分行われていないなどの事態に対する対応策の一つとして、国会の会期を1年ないし1年近くにすべしとの通年国会の議論がある。通常国会の会期を150日と規定しているのは国会法だから、法律改正だけで実現可能であり、現在の与野党の駆け引き型の国会を改革し、国会の生産性を上げる最も簡便な方法の一つとして、単独政権時代の自由民主党をはじめ提唱者が多い。国会が1年を通じて活動することは、休みなく働いている国民にも当然と受け止められる可能性が高い。しかし抵抗手段を制約される野党の反対があるのみならず、国会に拘束される機会が増え、答弁準備等に多大のエネルギーを割かれ、国際会議への出席等も制約される首相はじめ閣僚の懸念、閣僚をサポートし、審議促進の裏方を務めるなど国会対策に労力を取られる官僚の反対、選挙区対策の時間を奪われる与野党議員の消極的態度などによって実現していない。通年国会を実現するためには、まず開会中このように他の先進国の例がないほど首相はじめ政府のメンバーを拘束し、エネルギーを割かせている国会運営のあり方を変更することが前提になる。