予算の執行のために必要な法律の法案を予算関連法案といい、歳入に係る税関係の法案や国の借金のための特例公債法案、地方に交付する地方交付税のための地方交付税法案、歳出の事業を実施するための制度改正のための法案などがこれに当たる。諸外国では、今日では多くは予算も法案の一種だが、わが国では憲法で予算は法案とは異なるものとしており、衆議院(衆院)通過後30日で自然成立するが、予算関連法案はあくまでも法案としての審議手続きによる。予算関連法案は、政府が「予算関連」と指定して提出し(提出締め切りは年によって異なるが、通常2月上旬)、当初予算と並行して審議される。しかしあくまでも法案で、自然成立の制度がないので、ねじれ国会下では、野党(参議院(参院)の多数派)による政府攻撃の標的にされ、第169回国会では、2008年度予算は年度内成立したものの、歳入に関する予算関連法案が年度内に成立せず、つなぎ法案に盛り込まれなかったガソリンの暫定税率が1カ月失効する事態となった。また民主党への政権交代後に再びねじれ国会となった菅直人内閣下の11年の第177回国会では、東日本大震災の発生と民主党内の対立に加え、野党の自由民主党と公明党が政府・民主党攻撃の手段として用いたため特例公債法案の成立は8月になった。次の野田佳彦内閣では、通常国会を大幅に延長したものの特例公債法案が参院で廃案となり、財源の枯渇が予想されたことから、政府は9月から地方交付税の支払い延期など予算執行の抑制を行った。憲法の規定により予算は衆院を通過すれば成立が保証されるのに、その財源法案については予算と同時の成立が保証されず、政争の具となる事態に対して、両者をセットで成立させる仕組みの必要性が有識者からも提言された。結局12年度の特例公債法案は、他の規定を加えて「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案」と改めたうえで10月召集の臨時国会に提出され、11月になって民主、自民、公明の3党の合意により、公債発行の抑制に努めることとしたうえで、12年度分に加え13年度~15年度分についてもあらかじめ発行を認めることとして、衆院の解散当日に成立した。(→「予算の審議」)