法案などの一般の議案は、憲法により出席議員の過半数で決し、可否同数のときは議長の決するところによる。採決に議長は加わらないから、全議員が出席した状態で、衆議院(衆院)で238議席、参議院(参院)で121議席あれば議案を可決できる。しかしこれらの議席数だけでは、衆参でそれぞれ17ある常任委員会(→「委員会」)の運営の要である常任委員長ポストを多数派が獲得すると、委員数では多数派が少数となり、委員長が加わらない採決では多数派の推進する議案は可決できない(いわゆる逆転委員会)。その場合も、本会議で逆転成立させることはできるが、政治的影響が大きく、議院の安定的な運営には好ましい状態ではない。委員のみの採決で可否同数となった場合は、委員長が決裁権を行使して可決とすることができるから、委員長ポストを得たうえで会派数に比例して配分される委員数がすべての委員会で委員定数の半分を下回らない議席数があれば、委員会で法案が否決される事態を避けることができる。常任委員会の委員定数(その合計は衆参の議員定数より多い)を考慮して計算すると、その議席数は衆院で249議席、参院で129議席となり、この議席数を安定多数と呼んでいる。さらに委員長ポストを独占したうえで、委員の採決で可決するためには同様に計算して衆院で266議席、参院で140議席が必要であり、この議席数を絶対安定多数と呼んでいる。これらは選挙結果の勝利の度合いを測る尺度として用いられるが、参院は慣例上委員長ポストは議席数に比例して与野党に配分されるので、固定的な数値は決め難く、これらは主として衆院選挙について用いられる。