父母、祖父などが政治家で、その選挙地盤を継承した政治家。二世議員ともいう。2005年9月総選挙では162人が立候補し、うち82%に当たる132人が当選した。当選者全体に占める割合は28%(03年32%)とやや低下した。政党別では自由民主党(自民党)105人、民主党16人、公明党1人、国民新党1人、無所属9人。こうした政治家の世襲化は多様かつ有為な人材の登用を狭めるとの批判も強い。世襲議員への批判の高まりを受けて、自民党は09年総選挙マニフェスト(政権公約)で「配偶者と3親等内の親族が同一選挙区から立候補する場合は、次回の総選挙から公認、推薦しない」との方針を打ち出した。これに対し民主党は同じ制限を09年総選挙から実施すると公約し、自民党の先手を打った。09年総選挙では自民党候補の35%、民主党候補の11%が世襲候補だった。当選者でみると自民党議員の46%、民主党議員の10%が世襲議員で占められた。12年総選挙では世襲候補問題が再びクローズアップされた。自民党では福田康夫元首相、武部勤元幹事長、中川秀直元幹事長が引退したが、後継候補はいずれも息子が公募に応じる形で出馬した。これに対し民主党は10年参議院選挙と12年総選挙のマニフェストには、現職議員引退の場合、同一選挙区での世襲禁止を盛り込んでいる。12年総選挙で羽田孜元首相の引退に伴い、息子の羽田雄一郎(当時国土交通相)の参議院議員からのくら替えが問題となり、民主党執行部がくら替えの場合は公認しない方針を決めたため、羽田雄一郎は総選挙出馬を断念した。民主党としては世襲問題を争点化する意図もあった。この総選挙には世襲候補148人が立候補し114人が当選(当選率77.0%)し、うち自民党は89人(当選者全体の78.1%)を占めた。14年総選挙では153人が立候補し123人が当選(当選率78.0%)し、うち自民党は96人(全体の78.0%)となった。