政党が追求する理念、社会や国家の目標を定めた基本文書。党規約とともに政党運営の基本となる。党綱領を重視する革新政党に比べて、保守政党では象徴的な規定にとどまる場合が多い。自由民主党(自民党)は「現行憲法の自主的改正」を1955年結党時に綱領の付属的文書である「政綱」に掲げたが、約50年間ほとんど現実日程に上げなかった。社会、新党さきがけとの連立時代の95年3月党大会では、綱領と政綱を一本化した新綱領を採択したため、政綱にあった改憲目標は事実上消えていた。結党50年を迎えるに当たり改定作業を行い「新理念・綱領」を2006年11月党大会で採択し、このなかで「新憲法制定に努める」と初めて綱領にうたった。09年総選挙での惨敗を受けて10年1月党大会で新たな党綱領を採択し、このなかで95年綱領、05年綱領いずれにもあった「小さな政府」を目指すとの表現を削除、「すべての人に公正な政策を実行する政府を目指す」との考えを打ち出しているほか、新憲法の制定や財政再建、地域社会と家族のきずなも強調している。社会民主党は日本社会党からの名称変更に伴って1996年1月党大会で新綱領を決定。2006年2月党大会で綱領的文書「社会民主党宣言」を採択し、自衛隊について「現状、明らかに違憲状態にある」とした。日本共産党は00年11月党大会で党規約から「社会主義革命」「前衛政党」の表現を削除。さらに04年1月党大会で1961年党綱領を全面改定し、「天皇制の存廃は将来、国民の総意で解決する」「自衛隊は国民の合意で憲法9条実施に向け前進する」との現実路線を打ち出した。民主党は98年結党大会で「民主中道」路線を柱とする「基本理念」を採択したが、正式な綱領がなかった。再選された菅直人代表(首相)が2010年9月に綱領策定に前向きな考えを表明し、11年1月の党大会で綱領策定に乗り出すことを決めた。しかし3月の東日本大震災で策定作業は中断し、12年1月の役員会で、作業を再開する方針を確認した。12月総選挙での敗北を受けて党再生の柱として党綱領作りに取り組み、13年2月党大会で採択した。「共生社会」を目指すとし、外交・安全保障については「日米同盟を深化させ、アジアとの共生を実現し、『開かれた国益』を増進する」としている。憲法については「日本国憲法が掲げる基本精神を具現化する」として護憲派に配慮する一方、「未来志向の憲法を構想していく」との表現で改憲派の考えも取り入れている。「中道」とか「リベラル」というイデオロギー的表現は盛り込まなかった。