特定の地域に基盤を置き、政策的にも地方のニーズに根ざした主張を強く打ち出した政党。中央に本部を置き全国規模で活動する中央政党(全国政党)に対比していう。組織的にはピラミッド型の強固な党組織をつくるのではなく、相互の立場を尊重するネットワーク型政党を目指している。1994年の政治改革により衆議院選挙に比例代表ブロック制が導入されたのに伴い、「リベラル近畿」「農民連合・四国」などが衆議院比例ブロック単位で生まれた。95年統一地方選挙では「神奈川ネットワーク」などが議席を得た。こうした地域政党と市民団体をつなぐための全国組織として「ローカルネットワーク・オブ・ジャパン(Jネット)」(代表委員・横路孝弘、海江田万里ら)も96年4月に発足したが、実際には同年10月衆議院選挙での地域政党からの立候補はなかった。99年統一地方選挙に向けて無党派の議員でつくる「LOPAS(地方議員政策研究会)」(代表世話人・静岡市議松谷清)は地域政党からの立候補を支援した。同年4月県議選・政令市議選では「市民ネットワーク北海道」「市民ネットワーク・千葉県」「市民新党にいがた」「ふくおかネットワーク」などが当選者を出した。2001年東京都議選では「ネットワーク」が6人当選と議席を倍増させた。元北海道・沖縄開発庁長官鈴木宗男が05年8月旗揚げした「新党大地」も北海道を基盤にした地域政党の一つで、同年9月総選挙で当選者1人を出した。09年の自由民主党(自民党)から民主党への政権交代後、二大政党である民主党と自民党ともに低迷ぶりが明らかになるにつれ、地域政党の新たな動きが活発化し第2次ブームの観を呈している。10年参議院選挙に向けて同年4月、前杉並区長山田宏と前横浜市長中田宏による「日本創新党」、大阪府知事橋下徹を中心にした「ローカルパーティー『大阪維新の会』」が発足し、名古屋市長河村たかしも愛知県に基盤を置く「減税日本」をスタートさせた。これらに共通なのは知事、市長らがイニシアチブを取る“首長新党”という点。全国政党や国会議員に対する不信感が背景にある。これに刺激されて岩手県議らによる「地域政党いわて」や、埼玉県内5市町村の首長による「埼玉改援隊」、河村に呼応して愛知県知事選挙に立候補、当選した大村秀章による「日本一愛知の会」、前市議らが市議定数削減を目指す「京都党」、市議による「吹田新選会」などが相次いで旗揚げした。11年統一地方選挙ではこれら地域政党の消長も焦点の一つとなった。大阪維新の会は大阪府議選(定数109)で57議席の過半数を獲得。大阪、堺両市議選でも第1党となった。埼玉改援隊はさいたま市議選で推薦候補21人のうち12人を当選させ、和光市議選でも推薦した4人が全員当選した。京都党も同市議選で4人が当選した。ただ愛知県議選(定数103)では減税日本と日本一愛知の会の当選者は18人と予想よりも伸び悩んだ。11月に大阪府知事・大阪市長のダブル選挙が実施され、維新の会候補がいずれも圧勝した。大阪維新の会は12年9月、減税日本は10月それぞれ国政政党に衣替えした。15年4月統一地方選を前に、同年2月、みんなの党系の地域政党が相次いで結成された。みんなの党代表だった衆議院議員浅尾慶一郎が「神奈川みんなの改革」を、同党所属だった元衆議院議員佐藤正夫が「みんなの改革福岡」を立ち上げた。同党元代表渡辺喜美を支持する地方議員が「闘う改革の会千葉」を立ち上げた。(→「ミニ政党」「ミニ政党の動き」)