日本の官庁の人事はそれぞれの官庁が独立に実施しているのが現状であるが、それを改め、政府が、中央省庁の幹部人事を一元的に管理するために創設しようとしている機関。人事局は内閣官房に設けられ、100人以上の体制とする。局長は3人の官房副長官の中から首相が任命することになっている。内閣人事局を新設する国家公務員法の改正案が2013年秋の国会に提出されたが、継続審議となった。内閣人事局は、(1)幹部職員人事の一元管理、(2)国家公務員制度の企画・立案、人事管理の総合調整、(3)任用、採用試験、研修、(4)人事評価、服務、退職管理に関する事務、退職手当、特別職の給与、(5)級別定数、(6)総人件費の基本方針、(7)機構・定員に関する企画・立案、新設・改廃などの事務を行うこととされている。これらはこれまで人事院や総務省が担ってきたことである。ただし、これらのうち、(5)の各省庁のポストごとに人数や給与を決めるいわゆる級別定数の設定や改定について、管理については人事院の意見を十分に尊重するとされている。(1)の事務次官や局長など、中央省庁のおよそ600人の幹部人事は、総理大臣から委任を受けた官房長官が幹部候補者名簿を作成し、任命権者の閣僚は、その名簿の中から総理大臣と官房長官と協議のうえ幹部を任命することとなっている。さらに、総理大臣と官房長官は、幹部の任命や降格などについて、閣僚に「協議を求めることができる」とし、総理大臣の意向を人事に反映できる規定が盛り込まれている。現在までのところ、局長以上の人事は官房長官と副長官からなる閣議人事検討会議で最終的に決定されてきている。