領土は日本の約4分の3足らず、人口は450万人前後(2014年1月現在)の小国だが、オーストラリア同様にイギリス国王を元首とする立憲君主国で、総督デイム・パトリシア・リー・パッツィー・レディ GNZM, QSO(16年9月着任、5年任期)を国王代理とする議院内閣制。議会は一院制(任期3年、定数121)。国民党と労働党が二大主要政党だが、1993年の国民投票で小選挙区制から小選挙区比例代表併用制(MMP)に選挙制度が変更されたため、現在ではニュージーランドファースト党、統一未来党、ニュージーランド緑の党、ACT党、革新党、マオリ党、マナ党など少数政党も活発に活動している。2017年9月の総選挙の結果、国民党56議席、労働党46議席、ニュージーランドファースト党9議席、緑の党8議席、ACT党1議席となっている。同選挙では国民党と労働党双方が過半数を確保できず、労働党がニュージーランドファースト党と連立政権を組んで政権に就いた(緑の党は連立政権への閣外協力)。新首相はジャシンダ・アーダーン(17年10月就任)。同国は1893年に世界で初めて女性参政権を実現させている。 イギリスによる植民地化(1840年)以来、ニュージーランドは農業・牧畜産品輸出による豊かな生活を享受してきたが、イギリスのEC(現EU)加盟(1973年)と二度の石油危機(73年、79年)により経済が停滞。84年の労働党デビッド・ロンギ政権以後の各政権は、行財政改革を続け、経済の立て直しに努力してきた。東南アジア友好協力条約(TAC)加盟には、オーストラリアよりも積極的に対応し、2005年7月には調印を行った。なお同国は、シンガポール、チリ、ブルネイ(環太平洋戦略的経済パートナーシップ ; P4)との間で環太平洋戦略的経済連携協定(TPSEP)の深化・拡大を進め、環太平洋経済連携協定(TPP)の展開のきっかけをつくり、アジア・太平洋国家としての道を歩んでいる。 オセアニア諸国の開発援助にも熱心であり、島しょ国の政治紛争の調停・解決への意欲も強い。その結果、ニュージーランド人口は欧州系(74%)、マオリ系(14.9%)、太平洋島しょ国系(7.4%)、アジア系(11.8%)、その他(1.7%)となっている(13年国勢調査)。日本同様、地震の多い国土ではあるが、地震空白地域となっていた南島東北部のクライストチャーチを11年2月22日マグニチュード6.3の地震が襲い、総計181人の死者を出した(→「ニュージーランド大地震」)。日本との関係は全体的に良好だが、放射性物質輸送、捕鯨などの分野で意見の相違がある。とくに調査捕鯨をめぐって意見の相違は大きく、国民の間にはシーシェパード支持者も多い。キー政権は、オーストラリアによる国際司法裁判所への日本の調査捕鯨禁止の提訴には同調していないが、調査捕鯨反対の立場は堅持している。13年6月に両国は「戦略的パートナーシップ」となることを宣言する「オークランド声明」を発表した。