新興感染症とは、かつて人類が経験したことがない新しい感染症で、局地的あるいは地球規模で公衆衛生上問題となるもの。1977年にアフリカで起きたエボラ出血熱、同じく81年のエイズ、88年にマレーシアで豚のウイルスが人に感染したニパウイルス脳炎、93 年にアメリカでネズミのウイルスが人に感染したハンタウイルス肺症候群 、2003年に中国で発生したSARSなどである。これらの感染症は、長年にわたり、ひっそりと特定地域で風土病として存在してきたと考えられる。一方、既知の感染症で、すでに公衆衛生上問題とならない程度に先進国で患者数が減少していたものの、再び流行し始め、患者数が増加した病気を再興感染症という。結核、コレラ、狂犬病、デング熱、マラリア、住血吸虫病、西ナイル熱などが挙げられる。再興感染症については、先進国で患者数が減少していただけであり、発展途上国ではずっと問題になっていた点に注意が必要である。