地殻に存在するウラン資源は少なく、ウランの核分裂反応を利用する原子力は、意味のあるエネルギー資源にならない。そこでプルトニウムを製造してその核分裂エネルギーを利用することが考えられた。しかし、それを実現するために必要な高速増殖炉(FBR)はほとんど実現の見込みがないし、仮に完璧に実現できたとしても、せいぜい化石燃料に匹敵する程度でしかない。さらに、トリウムを燃料とする核分裂エネルギー利用も構想されてはいるが、ウランやプルトニウムを燃料にする核分裂利用すら壁に突き当たっており、意味のあるエネルギー資源になる可能性は少ない。そのため、核分裂は核融合が実現するまでのつなぎのエネルギーだといわれてきたが、その核融合は、核分裂よりさらに実現の可能性が少ないことが次第に分かってきた。そこで、核融合を研究してきた人たちは、核融合で生じる中性子を核分裂に利用し、さらに核分裂反応で生じたアクチノイドなど長寿命の有害放射性核種の核変換(→「核変換処理」)、つまり厄介ものとなった有害廃物の処理のために使えると提案し始めた。それが核融合・核分裂ハイブリッド炉と呼ばれる。