2008年8月施行の宇宙基本法に基づき、内閣総理大臣を長とする宇宙開発戦略本部が制定する、日本の宇宙政策の中期計画。10年間の将来情勢を視野に入れつつ、今後5年間に国が実施すべき施策を定めた文書で、宇宙政策委員会がその内容を審議する。総理府・宇宙開発委員会を中心とする旧体制では、宇宙開発政策大綱というほぼ同等の文書が5年ごとに策定されていた。
最初の宇宙基本計画は、09年6月に制定された。09~13年度の施策をとりまとめたもので、宇宙関連の年間予算を、ほぼ倍増の5000億円規模にするという数値目標が入っているのが特徴。しかし、その後の国家財政状況の悪化のため、この目標は達成できなかった。12年7月に発足した新体制下(→「日本の宇宙開発体制(2012年7月以降)」)で、宇宙政策委員会は13年1月に二つ目となる宇宙基本計画を策定した。予算額の数値目標はなくなり、民間企業による宇宙産業振興を前面に押し出した内容となった。
15年1月には三つ目の宇宙基本計画が決定された。安倍晋三政権の強い意向により、20年間の将来情勢を視野に入れつつ、今後10年間に国が実施すべき施策を定めた長期計画となった。情報収集衛星や準天頂衛星など安全保障に関係する宇宙計画を重視し、継続的な予算措置を保証する一方で、国際宇宙ステーション(ISS)などの有人宇宙活動や地球環境観測、宇宙科学などの予算を絞った、これまでとは大きく方針を転換した内容となっている。09年、13年とは計画の性質も若干変化し、骨子を生かしつつも、情勢の変化に対応して毎年見直して改訂するものとなった。計画文書には具体的な衛星やロケットの開発、運用計画を記載した「工程表」が附属するようになり、より短期計画の色彩が強くなった。