ワイドバンドギャップ半導体の一つである窒化ガリウム(GaN ガリウムナイトライド)を基板として用いるデバイスで、主に高耐圧なパワーデバイスに用いられる。GaNは禁制帯幅(バンドギャップ)が3.4eV(電子ボルト)とシリコンの1.1eVに比較して大きいため、耐圧を持たせるための空乏層幅を小さくできる。このため、特にオン抵抗(電流が流れているときの抵抗)を低くでき、損失が小さく高性能化が可能である。また、高周波特性も良くなることが期待され、通信用の高耐圧高周波デバイスへの応用も期待できる。GaN結晶成長技術は青色レーザーなどの発展で進歩したものの、まだシリコンほど良い結晶を安く作成する技術が開発されていない。そのため、高価格であるが、技術開発により解決されることが期待される。SiCデバイスとの最大の差は、基板がサファイアなどの絶縁物になっている点で、パワーデバイスで通常用いられている、電子が表面から裏面に走る縦型デバイスが作れないため、電流を表面に流す点にある。このため、大電力用がSiC、高周波用がGaNというすみ分けになりつつあるようだが、価格で決まる要素もあり、まだ不透明である。