これまで実用化されてきた超LSIメモリーは、すべて平面上に作製されてきた。この理由はリソグラフィー技術が平面上にのみ微細なパターンを形成できるためである。近年の高性能化への要求から、1チップ上へのデバイス集積数の増大、チップ間の信号伝達の高速化が必須となってきた。このため、TSV技術等を駆使したSIP(システム・イン・パッケージ)等、チップレベルでの三次元積層が進められてきた。
しかし、メモリーの高集積化への要求はとどまるところを知らず、1チップ内にメモリーセルを縦方向にも集積する「3Dメモリー」と呼ばれる技術開発が行われ、なかでも技術的に実現しやすいNAND型フラッシュメモリーの製品化が進められた。現在では一度のリソグラフィーとドライエッチングで縦方向に一挙に8層程度重ねてトランジスタを作製できるようになり、大幅な高集積化を実現できるようになった。1970年代に話題になった三次元デバイスのように、通常のトランジスタを1層ずつ積み上げていく技術では、コスト的、歩どまり的に全く実用化が不可能であったが、このように一度に多数のトランジスタを作製する技術が可能になったため、性能面のみでなくコスト的にも有利になり実用化された。