物体や環境の温度を検出する素子であり、対象物に直接接触させて測温する接触型と、接触させずに物体から放射される赤外線を検出する非接触型に大別される。接触型の代表的なものには熱電対、測温抵抗体、サーミスター、IC温度センサーがある。熱電対は、熱電効果のうちゼーベック効果を利用したものであり、精度が高く、適切な種類のものを選ぶことにより広い温度範囲に対応することができるため、産業用に広く用いられている(→「熱電変換素子」)。熱起電力が基準接点との温度差によって生じるため、一般には基準接点補償回路が必要となる。測温抵抗体は金属の抵抗率が温度によって変化する現象を利用したものであり、金属材料としては主に白金が用いられる。精度が高いため、熱電対と並んで産業用に用いられている。サーミスターは半導体や金属酸化物、セラミックスなどの抵抗率が温度によって大きく変化する現象を利用したものであり、小型で安価なため、様々な用途に広く用いられている。IC温度センサーはトランジスタのベース-エミッタ間電圧が温度によって変化することを利用した集積型のセンサーであり、増幅回路やリニアライズ回路も内蔵されているため使いやすく、民生用機器に多く用いられるようになった。赤外線を検出する非接触型のセンサーにはサーモパイル、ボロメーター、パイロセンサー(焦電型赤外線センサー)などがある。産業用途の他、電子レンジ内の調理品の温度測定等にも用いられている。