日本銀行がデフレーション対策として2010年10月5日に打ち出した臨時異例の包括的な金融緩和策。政策金利であるコールレート(無担保オーバーナイト物)の誘導目標をそれまでの0.1%から0~0.1%に引き下げ、いわゆるゼロ金利政策を4年3カ月ぶりに復活させた。日本銀行は、この「ゼロ金利」を消費者物価指数が前年比1%程度になるまで継続すると発表することにより、時間軸効果を明確化している。また、長期国債、国庫短期証券、社債、コマーシャル・ペーパー(CP)、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)を購入するための「資産買い入れ等の基金」(総額5兆円)を設けることを決定した。既に09年12月から当初10兆円の枠で導入された共通担保資金供給・固定金利オペ(→「日本銀行新型オペ」)が、10年3月には20兆円、同年8月には30兆円に枠拡大されたのと合わせると、合計35兆円の基金を設定したことになる。「資産買い入れ等の基金」は、多様な資産を市場から買い取ることにより、リスク・プレミアムの低下を通じて企業の資金調達コストを抑制し、デフレーションからの脱却につなげることを狙いとしている。なお、同基金による長期国債の買い入れは、日本銀行が設定している銀行券ルールの対象外とされている。