委員会を通過した法案は、議院運営委員会の協議を経て、議事日程に記載され、本会議で委員長報告、討論(省略される場合も多い)、採決が行われる。戦前の帝国議会では、本会議審議は条文ごとに修正案を審議して採決する逐条審議が原則で、現在でも先進国の多くの議会はこの方式を採用しており、一般に本会議審議は長時間を要するが、国会は議案を負託された委員会の委員長の審査の経過と結果の報告(審査の結果は、可決すべきか修正可決すべきであり、理論的には否決すべきもあるが、否決すべきものは委員会を通過しなかったとして本会議で逆転可決できる場合を除き通常報告されなかったり、そもそも委員会審査が行われない)がなされ、採決は「委員長報告の通り決すること」の可否について行われる。この場合、委員会に関連する法案が複数付託されたときは、それらをまとめて報告および採決がなされる。これを一括採決と呼び、小渕恵三内閣下の第146回国会では、1999年11月の衆議院(衆院)本会議および12月の参議院(参院)本会議で、58件の独立行政法人個別法案など61案を委員長報告の通り一括して可決した。このことは国会の本会議審議が極めて形式的なものになっていることを意味している。採決には、(1)異議なし採決、(2)起立採決、(3)記名投票がある。異議なし採決は議長が「御異議ございませんか」と尋ね、議員が「異議なし」と叫ぶ。手続きに関する事項その他事前調整で全会一致のものについて行われる。起立採決は、衆議院では通常の採決方法で、議長が「賛成の諸君の起立を求めます」と告げ、「起立多数(全員の時は起立総員)。よって委員長報告の通り決しました」などと宣告する。記名投票は、衆参とも議長が必要と認めたときまたは出席議員の5分の1以上の要求があるとき実施し(実際は事前に議院運営委員会で決める)、可とする議員は席にある自分の氏名を記した白い木札=白色票を、否とする議員は同じく青い木札=青色票を持参して、演壇の事務局職員に手渡す。個々の議員の賛否が記録に残る意義がある。列を作って演壇を上り下りして投票する様子は、俗に堂々巡りと呼ばれる。参院では98年以降議案や国会同意人事の採決は押しボタン投票によっており、衆院も導入を検討しているが、まだ実現していない。なお、採決は議長の方から決を採ることを言い、表決は議員の側から決についての意思を表明することを言う。