党員に党の規律を乱す行為があったときに、党規律規約に基づいて党紀委員会が行う処分。自由民主党(自民党)の場合、重い順に(1)除名(2)離党勧告(3)党員資格停止(4)選挙における非公認(5)政府・国会の役職辞任勧告(6)党の役職停止(7)戒告(8)党則順守勧告、がある。民主党の場合、党倫理規則のなかで汚職や政治資金規正法令違反や党議にそむく行為などを「倫理規範に反する行為」として、処分または措置を行うことを定めている。「処分」は重い順に(1)除籍(除名に相当)(2)離党勧告(3)党員資格停止、の3段階がある。党員資格停止となると、代表選挙での立候補資格と投票資格を失うほか、党の役職を解任され、公式会議にも出席できない。選挙区総支部長としての政治資金の支給もなくなり、期間中に選挙があれば公認されない可能性もある。その他の「措置」として(1)役職辞任勧告(2)党公認・推薦取り消し(3)党の役職停止・解任(4)常任幹事会名による厳重注意(5)幹事長名による注意、の5段階がある。手続き的には、党役員会が発議し、党倫理委員会での審議を経て、党常任幹事会で最終決定される。倫理委員会では本人弁明の機会が与えられ、決定に対する不服申し立て制度もある。陸山会事件で強制起訴された小沢一郎元代表に対しては、党内手続きを踏まえ党常任幹事会が2011年2月22日、小沢元代表の党員資格停止を決めた。期限は裁判終了までとされた。小沢元代表は不服申し立てをしたが、認められなかった。3月8日には予算案の採決に欠席した16人のうち、代表者の渡辺浩一郎のみ「党員資格停止6カ月」の処分とし、残り15人は「厳重注意」の措置とした。12月に離党し新党結成に加わった10人に対しては12年1月24日、離党届を受理せず、除籍の処分を決めた。陸山会事件で小沢元代表が4月26日、無罪判決となったため、民主党は5月10日、党員資格停止処分を解除した。6月の消費税増税法案の採決に当たっては、民主党から反対57人、棄権15人の造反者が出た。このうち反対派の小沢ら衆議院議員38人と参議院議員12人の計50人が7月2日、集団で離党届を提出したため、うち新党参加意向の衆議院議員37人(1人は離党を撤回)を除籍処分とした。離党届を出さなかった反対派20人のうち鳩山由紀夫を党員資格停止3カ月、17人は党員資格停止2カ月となり、後に離党届を出した加藤学は除籍され、採決前に離党届を提出していた平智之と参議院議員12人はそのまま離党が認められた。関連3法案の採決で棄権した12人は常任幹事会名による厳重注意、増税法案の採決のみ棄権した3人は幹事長名による注意となった。8月9日の内閣不信任決議案採決では、民主党は決議案への反対方針に造反して賛成した小泉俊明、小林興起を除籍処分としたのに対し、自民党は棄権方針に造反して賛成した中川秀直ら7人を戒告処分にとどめた。民主党では離党が止まらず、9月12日に結成した新党「日本維新の会」(→「維新の党」)へ参加するため離党届を出した松野頼久ら4人、みんなの党へ参加した杉本和巳、「減税日本」に参加した熊田篤嗣ら2人がいずれも除籍となった。自民党から日本維新の会に参加した谷畑孝と松浪健太は党規で最も重い除名処分となった。