たばこはヒトがんの3分の1に関係する。生涯喫煙の肺がんリスクは20%近い。喫煙と関係ないといわれていた結腸がんでも、喫煙者は2倍前後のマイクロサテライト不安定性を示し、20%程度の寄与要因となっている可能性がある。太い気管支に多い扁平上皮がんと小細胞がんに関しては、男性の喫煙の寄与危険率は95%前後になる。腺がんについても喫煙の相対危険度は5倍くらいある。肺野型の扁平上皮がん、予後の悪い低分化腺がんは喫煙者に多いといわれている。直接煙が触れる部位の口腔咽頭がん、喉頭がん、唾液に溶け込む発がん物質が影響を与える食道がん、胃がん、吸収された発がん物質が影響する膵臓がん、肝臓がん、排泄過程で影響がでる膀胱がん、子宮がんなど、喫煙者のリスクはいずれも数倍になっている。たばこには、発がん作用だけでなく、強力なプロモーター作用もあるので、防煙が重要であるし、禁煙は早ければ早いほど効果がある。