胃がんになるにはいくつかの遺伝子異常が積み重なっている。胃がん患者46人から採取した細胞を、遺伝子チップで検索し、患者の約6割は細胞の増殖を抑える新たな遺伝子に異常があることが発見された。それは消化酵素の分泌を促す「RUNX3」と呼ぶ遺伝子の活動が停止していて、末期に近いほど、異常の割合は高かった。遺伝子の周りに結合した余分な分子を取り除けば、遺伝子が活動を再開して、がん化を抑制する機能を取り戻す可能性が高く、この分子を除去する物質の臨床応用が検討されている。