西洋医学における病名は、漢方医学的では証(しょう)が該当する。診断に当たっては、四診(→「診察法」)の結果を総合的に判断し、陰陽・虚実・寒熱・表裏、気血水、五臓などの漢方医学的概念に基づき、「患者の体質と病態(症状、体力、体質、病気に対する抵抗力など)の証」を診る。最終的には「○○湯証」、ある特定の処方が効くであろうという診断と同時に治療薬を決定する。このため、西洋医学的には同じ病名でも、患者によって異なる漢方薬を処方することがある。これを同病異治という。例えば「月経困難症」という病名の場合でも、実証の人には「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、比較的虚証の人には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」など、証が異なる場合は違う漢方薬を投与する。一方、例えば西洋医学的に「片頭痛」と「冷え症」という全く違う病名の2人の患者に対して、証が同じであると診断すれば同じ漢方薬を処方する場合もある。これを異病同治という。