原子力発電の後には、膨大な放射性廃棄物や放射性物質による汚染を受けた施設自体の始末が必要になる。原子炉で核燃料を燃やした後になお必要な作業をバックエンドと呼ぶ。2004年1月に電気事業連合会が公表した試算によれば、廃炉や再処理工場の後始末も考えると、その費用は18.8兆円に達する。しかし、電気事業連合会は07年2月に廃炉費用がさらに3300億円必要になると発表するなど、これらの数値すら大幅な過小評価である。実際には30兆円とも50兆円ともいわれる巨額な負担を要するようになる。現在、低レベル放射性廃棄物に関しては、発電炉のものを日本原燃が青森県六ヶ所村に、医療用のものを日本アイソトープ協会が岩手県滝沢村に搬入して、埋め捨てにしている。しかし、日本原子力研究開発機構、大学、その他の研究機関などのものは行き場がなく、たまったままになってきた。それらについては、従来から原子力研究バックエンド推進センター(RANDEC ; The Radioactive Waste Management and Nuclear Facility Decommissioning Technology Center)が取り組んできたが、処分地探しで難航している。