混合酸化物燃料ともいう。本来は高速増殖炉で使うべきものだが、高速増殖炉は一向に開発の見込みがないので、現在はプルサーマルの燃料として使われようとしている。しかし、MOX燃料はウラン燃料に比べて超ウラン元素(原子番号92のウランよりも大きい原子番号をもつ、人工的につくられた放射性元素)の蓄積が多くなる。そのことは再処理の困難さを増加させるため、六ヶ所再処理工場では処理できず、2010年から検討が始まるといわれていた第二再処理工場の実現を待たねばならない。しかし、六ヶ所再処理工場の稼働すら予断を許さず、第二再処理工場の検討は始められないままでいる。また、ウラン燃料に比べ、使用済み燃料となった後の発熱量が高く、仮に第二再処理工場ができたとしても、そこに輸送するまでには長期間、原子力発電所の敷地で保管することが必要となる。プルトニウムはウランに比べて10万倍の桁で比放射能が高く、プルトニウムの取り扱いに高度の困難が伴う。そのため、通常の燃料に比べて5~20倍の費用がかかる。日本原燃株式会社が六ヶ所村に12年10月の操業開始を目指し、130t-HM(HMはHeavy Metalの略で、重金属の重量を単位とする)規模のMOX燃料の製造施設の建設を計画し、青森県も建設に同意した。また、05年には経済産業省に事業許可申請書を提出していて、審査も受けている。しかし、再処理工場は動かず、プルサーマルも実施が遅れてきた中、竣工時期は次々と延期されたが、10年10月に着工し、11年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で一時建設を中断していた。その後、12年4月から工事が再開。しかし、竣工予定は次々と先送りされ、19年度上期に竣工とされているが、それも怪しい。