従来、原子力発電から生じた使用済み燃料は再処理してプルトニウムを取り出し、残った成分をガラス固化体にして地層処分するというのが、日本の方針であった。しかし、プルトニウムを燃料とする高速増殖炉は一向に開発できず、仮に再処理が実現できたとしても、プルトニウムの使い道がない。使い道のないプルトニウムは保持しないと日本は国際公約させられているし、そのため、無意味なプルサーマルに追い込まれた。そのうえ、再処理すらが、ガラス固化体製造でつまずいて実現できていない。一方、原子力発電を続ける限り、使用済み燃料は蓄積してきてしまう。そのため、従来の方針を転換し、使用済み燃料をそのまま地層処分しようとする案が出てきた。それを直接処分という。もともと、世界では再処理をしない流れが優勢になっており、アメリカ、スウェーデン、フィンランドなどは直接処分をする計画である。ただし、再処理してガラス固化体にする場合と同様、10万年あるいは100万年といわれる長期間にわたって、隔離が保証されなければならず、実行できている国は一つもない。