量子信号増幅法の一つで、地点Aにある量子情報を直接増幅するのでなく、量子テレポーテーションの際に増幅されたものが地点Bに出現するような増幅法。(1)地点Bに強度の強い重ね合わせ状態(シュレーディンガーの猫状態とも呼ばれる→「重ね合わせの原理」)を準備し、(2)それを2分割したものの片方を地点Aに送って量子信号と干渉させ、(3)その結果を地点Bに通報することによって地点Bに残したもう片方の状態に量子情報が乗り移ることを利用した増幅方法である。単なる伝送でなく量子増幅付き伝送であることから、量子増幅伝送と呼んでもよい。通常の増幅は「どの位相の波も等しく増幅する」ものであり、増幅にともなう雑音が避けられない。対してこの増幅法は、たとえば0°と180°の信号しか対象としないなど、位相を限定することができ、その分雑音の影響を受けない。テレポーテーション型信号増幅の利点として、量子情報を直接送らず、あらかじめ準備した大強度の量子もつれ(エンタングルメント)状態を送ることにより量子情報を増幅付きでテレポートするので、伝送損失の影響が軽微であることが挙げられる。他の利点として、干渉結果は増幅操作に必要ではあるが、それそのものに元の量子情報は無関係なので、量子暗号としても使える。