2007~08年は記念すべき年であった。07年は、レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler)の生誕300年の年であり、08年は関孝和没後300年の年でもあった。
オイラーは、オイラーの公式、代数的位相幾何の発端ともいえるオイラー標数などをはじめとして、あまりに多くの業績があり、いまだに全集が完成していないほどである。流行中の「数独」も、その原型はオイラーのラテン方陣である。07年には駐日スイス大使館がオイラー記念の「数独」の大会を開いた。
一方、江戸時代の数学(和算)に大きな足跡を残した関孝和は、宝永5年(1708)に亡くなった。関の最も大きな業績は、多変数の方程式を記述する方法「傍書法(ぼうしょほう)」を考案し、行列や行列式の概念を導入して消去法を世界で初めて完成させたことである。
この二人はそろって円周率の計算でも大きな成果をあげている。見落とされがちだが、関~建部賢弘の「加速計算法」(→「和算の円周率計算」)も世界に誇る成果である。